良性発作性頭位性めまい症
ある日突然、起き上がったり、ぱたっと寝たり、寝返りをしたりという動作をした直後に数秒から数十秒間のぐるぐる回るめまいが起きることがあります。じっとしていると収まりますが、また動作をすると回るめまいが起きます。めまいがひどいと、吐き気がしたり、実際に吐くこともあります。朝特にめまいが強く、夕方に楽になって、次の日の朝また動作をしたときにめまいがある、ということが数日から数週間続きますが、やがて収まってきます。難聴、耳鳴りなどの耳の症状は伴いません。こういうめまいがしたときは、この「良性発作性頭位性めまい症」が考えられます。これは、三半規管の一時的な障害によって起きると考えられています。耳鼻科を受診して、頭の動きによってめまいがするか、そのときの目の動きはどうかなどを調べてもらいましょう。
メニエール病
内耳には、音を聴き取る蝸牛と、体のバランスをとる三半規管および前庭があり、それぞれ水の入った袋の構造をしています。それぞれの袋は内部でつながっています。何らかの原因で水が余計にたまって水ぶくれが起きると、ぐるぐる回るめまいと、耳鳴りと、難聴が起こります。3つの症状が大体同時に起こって(数日から数時間のずれはありますが)、同時に収まる、ということが繰り返して起こります。めまいがひどいと吐き気も伴います。回転性のめまいはたいてい数時間から半日で収まりますが、難聴、耳鳴り、ふらふら感は数日続くことがあります。聴力検査をしてみると、難聴は特に低音部におこります。体調不良や睡眠不足のときにめまい発作が起こりやすいようです。このような症状が起きた場合は、耳鼻科で診てもらいましょう。
頸性めまい(けいせいめまい)
内耳以外の原因でもめまいが起こることがあります。その中で特に多いのがこのめまいです。くびから頭へかけての血のめぐりが、くびの向きによって一時的に悪くなり、ぐるぐる回るめまいが起こります。くびを曲げて下の物を取ろうととしたとき、上を向いて洗濯物を干そうとしたとき、首を横にひねったときなどにめまいが起こります。耳鼻科を受診して、このめまいが考えられるときは、整形外科や、脳神経外科や、神経内科でも診てもらうように紹介されることがあります。
耳鳴り症
耳鳴りとは、「実際に音が鳴っていないのに、音が鳴っているように感じること」をいいます。内耳の蝸牛(かぎゅう)は鼓膜や耳小骨から受け取った音波の振動を電気信号に変えるところです。この電気信号が聴神経によって脳に伝えられて、音として認識しています。耳鳴りのほとんどは、なんらかの異常で、音が伝えられてきていないのに、蝸牛内でかってに電気信号が発生するためと考えられています。蝸牛の異常の原因として、加齢変化、ウイルス、血液循環障害、メニエール病の水ぶくれなどがあります。ほかには、聴神経や脳の異常でも耳鳴りが起こることがあります。原因が推定できる場合は、これに対する治療を行います。原因がはっきりしない時は、耳鳴りをとめることが難しい場合もあります。耳鼻科を受診して、診てもらいましょう。
突発性難聴
ある日突然に起きた難聴で、原因不明ですが、障害の起きた場所が内耳と考えられるものを突発性難聴といいます。耳鳴りも伴うことが多いです。内耳の蝸牛のほかに、三半規管や前庭も一緒に障害されることがあり、このときは、ぐるぐる回るめまいや吐き気も伴います。原因については、ウイルスとも血液循環障害ともいわれています。治療開始が早いほど治る確率が高く、治療開始が遅いほど難聴や耳鳴りが残ってしまう可能性があります。早めに(できれば数日以内に)耳鼻科を受診しましょう。
低音障害型急性感音性難聴(低音障害型突発難聴)
突発性(または急性)に起こった、低音域に限局した感音性難聴です。聴力検査をしてみると、低いほうの音だけが聞こえが悪くなってい、内耳性と考えられる難聴です。耳鳴りや耳のふさがった感じを伴うことがあります。突発性難聴が低音部だけに起こったもの、または、メニエール病で聴こえだけがわるくてめまいを伴わない状態とも考えられています。突発性難聴と違って、いったんは良くなっても、また繰り返して聴こえが悪くなることがあります。耳鼻科で検査と治療を受けましょう。
末梢性顔面神経麻痺
顔面神経麻痺は、まぶたや唇を動かしたり、顔の表情を作ったりする筋肉を動かす神経の麻痺のことです。顔面神経の枝には、舌の味覚神経や涙を分泌させる神経もあるので、顔面麻痺と同時に味がわかりにくくなったり、涙が出なくなったりすることがあります。いいほうの顔面に比べて悪いほうの顔面が動かないので、引きつって見えます。顔面神経は、頭から出た後、聴神経の隣と、内耳の脇を通って、耳の骨と耳下腺(耳の下の唾液腺)を通り抜けて顔面に分布しています。原因は多くの場合不明です。原因がわかった場合に多いのは、水痘帯状疱疹ウイルスによるもので、耳介の帯状疱疹を伴います。他に、耳下腺の腫瘍、中耳炎、耳の骨の骨折などに伴って顔面神経麻痺が起こります。脳梗塞や脳腫瘍でも顔面神経麻痺が起こります(脳が原因の場合は中枢性顔面神経麻痺といいます)。原因不明の場合は、ウイルスまたは血液循環障害が原因と推定されています。早めに治療開始するほど直る確率が高いので、早め(数日以内)の耳鼻科受診をお勧めします。
騒音性難聴
長年にわたって、うるさい音の中で、仕事をしたり、暮らしていると、難聴や耳鳴りが起こることがあります。聴力検査をすると、特に4000Hz(ヘルツ)(1秒間に4000回の音の振動のある、比較的高い音)のところの聴こえが悪くなっています。治療して治ることは困難なので、予防が大切です(騒音下の作業には耳栓をするなど)。
急性音響外傷
ライフルの音やロックコンサートなど、強大な音を聴いた後で、難聴や耳鳴りが起こることがあります。このような時は、早めに耳鼻科でみてもらいましょう。
比較的まれな病気
前庭神経炎
ある日突然、回転性のめまいが起こり、吐き気や嘔吐も伴います。難聴や耳鳴りなどの聴覚の障害は伴いません。また、めまいは、良性発作性頭位性めまい症と違って、頭の動きのよらず、じっと静止していて、続きます。めまいは数日から数週間続いた後、徐々に良くなってきます。耳鼻科で、カロリックテストをすると、片方の三半規管が麻痺していることがわかります。耳鼻科で検査と治療を受けましょう。(注:カロリックテストとは、温度眼振検査ともいいます。耳に水を入れてめまいがおきるか調べる検査です。三半規管が正常だと、めまいが約3分間おきますが、三半規管が麻痺しているとめまいは起きません。)
聴神経腫瘍
感音性難聴、耳鳴り、回転性めまいはほとんどは内耳が原因で起きますが、まれに聴神経に腫瘍ができていてもこのような症状が起こります。顔面神経麻痺が起こることもあります。腫瘍がだんだん大きくなっていくと、顔面の知覚障害、頭痛、小脳の障害(手足の共同運動がうまくできない、うまく歩けない、 など)が起こってきます。耳鼻科でこの病気が疑われたときは、大きな病院でCTやMRIを撮って調べる必要があります。
内耳炎
中耳炎がひどくなると、まれに隣の内耳にまで炎症が及ぶことがあります。感音性難聴、耳鳴り、めまいを伴います。耳鼻科で中耳炎をしっかり直す必要があります。
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